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生活保護の元ケースワーカーの方に教えていただきました。児童書『むこう岸』オススメです。

令和元年7月14日(日)福岡にて開催されました「第32回クレジット・サラ金被害者九州ブロック交流集会」に参加しました。

今回の交流集会のテーマは、クレジット・サラ金被害にもつながってくる、ギャンブル等をはじめとする依存症の理解と対策でした。

その中の分科会で教えていただいたのが、児童書『むこう岸』です。 

「これは児童書に分類される本ですが……我々の職場でもみんなで読んでいたんですよ」との分科会の講師(生活保護の元ケースワーカーの方)の言葉が気になって購入した次第です。一読、おもしろかったので、ご紹介します。

【対象:小学上級以上】第59回日本児童文学者協会賞受賞作品。
 単行本: 258ページ 出版社: 講談社 (2018/12/6)

生活保護受給など、複雑な環境にいる主人公たちのことを子どもは理解できるかな?

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これは生活保護が状況設定として使われている児童書である、というどこか舐めた感じで読み始めたんですね。すみません。

主人公(当初わたしが主人公だと思った男の子)が、最初は活躍しないし、なよなよしているしで、なんか感情移入できないな~という感じでした。

ただ、描かれた悪意や、不条理には、ハッとさせられるところがありました。主人公たちに浴びせられる悪意は、わたしの中にもあるんじゃないか?と思ったんです。

悪意、不条理に、主人公たちが立ち向かう姿に勇気づけられる

この小説には、主人公たちを暖かく支える大人たちも出てきます。わたしは主人公たちを見守っている大人目線だったかも知れないです。

本を読みすすめていくうちに、主人公たちは、それぞれが悪意、不条理に対して立ち向かおうとする力を取り戻していきます。

主人公たちがとってもいい子なんですよね。

安田先生へお願いです。主人公たちの後日譚をいつか書いてください。

生活保護の制度について、リアルな一面を描いていると思った

ケースワーカーさんも、全員完璧ってわけじゃない」これは、主人公のセリフとして書いてありますが、とても重要な指摘です。

また、生活保護の窓口で、生活保護の受給者の男性が、ケースワーカーの方を難詰するシーンがあります。ケースワーカーの方が間違った指導をしていたという設定です。

この本を紹介された講師は、生活保護ケースワーカーを長年なさっていた方でした。我々の職場でもみんなで読んでいたんですよとのことでしたが、生活保護受給者の方の生活再建のために、真摯に取り組んでいらしゃったんだなと感じました。

また、現在は子どもの学習支援事業をなさっているとのことでした。

現在関わっていらっしゃる学習支援事業は、純粋な民間委託事業となると、塾産業が入ってきて、学習塾みたいな形態になってしまうと。それじゃあダメなんです、とおっしゃっていたのが印象的でした。

制度が、普通の子どもたちにもわかるようにならなければ

『むこう岸』の中で指摘あることです。

制度は難しいんですよね。

著者は、小説という形で、それに応えようとなさっているんだと感じました。

【対象:小学上級以上】第59回日本児童文学者協会賞受賞作品。
 単行本: 258ページ 出版社: 講談社 (2018/12/6)


読み終わったあと、書評ブログがないか検索をしました。ほかの方の感想も読んでみたくなった本です。生活保護にあまりなじみがない方も少しご存知の方も、また、おもしろい小説を探している方にもオススメします。

 

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