生活保護費を返還しなければならない状況というのは、どのような場面なのでしょうか?また、返さなくてよい!とすることはできないのでしょうか?
生活保護法に生活保護費を返還しなければならない場面というものが規定されています。
一つは、生活保護法第78条です。こちらは不正受給していたら、返さなくてはなりませんよ!という条文です。
もう一つが、今回取り上げます、生活保護法第63条です。この条文から、63条返還といったりします。
63条返還とは、どのような状況でしょうか?
図をみていただくと、63条返還とはどのようなものか、なんとなくお分かりいただけるかと思いますが、一応条文をみてみます。
生活保護法
(費用返還義務)
第六十三条 被保護者が、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けたときは、保護に要する費用を支弁した都道府県又は市町村に対して、すみやかに、その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならない。
- 資力がないときに受け取った生活保護費は、返還対象ではない
- 資力があるときに返還する金額は、生活保護費に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額である
ここで、ポイントの1は、条文で確認いただいたとして、ポイントの2にすすみたいと思います。
まず返還する金額は、「その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において」です
ポーンと入ってきた金額が返還する金額じゃないんです。もらった生活保護費の金額を返してね!ということなんです。ポーンと入ってきた金額が高額ならば、そこでいったん生活保護がストップすることはありますが、生活保護法第63条で返さなくてはいけないのは、もらった生活保護費の金額です。
ポイント2をここまで確認いただいたとして、さらに
- 「保護の実施機関の定める額」で良いと書いてある、全額を返還しなくて良い場面がある(=自立更生計画についての説明)
- それでも医療費は、10割を返還しなくてはいけない
ということを以下、解説したいと思います。
コラム
生活保護の種類は、
- 生活扶助
- 教育扶助
- 住宅扶助
- 医療扶助
- 出産扶助
- 生業扶助及び
- 葬祭扶助
の7種類と定められています(生活保護法第11条1項)。
生活保護のうちの生活扶助は、生活費として毎月支給があるイメージで良いです。
自立更生計画とは
リンク先の記事では、生活保護受給中の方が、義援金を受け取られた場合において、「自立更生計画書」というものを提出していただければ(ケースワーカーは、その指導をするべきとなってます)その義援金を収入認定しないということを解説されています。
この自立更生計画というものは、災害の義援金のときだけの話ではありません。ただ、リンク先にありますとおり、熊本地震の最初の義援金は、「自立更生計画書」に、使い道を細かくかかなくて良いとなっていますが、その他の場合には、「自立更生計画書」に、これこれにいくら使いたい、ということを書く必要があります。
なにが「自立更生」に該当するかということは、細かい規定がありますが、とりあえず、ひとまず生活保護費の返還をしなくて良い場合がある!ということの説明を終わります。
医療費の10割返還について
生活保護費として支払われた医療費は、10割を返還しなければなりません。これは原則です。国保への切り替えは、生活保護の停止・廃止後でなければなりません。
東京都では、2週間までは待ちます、とのことでした。他の市町村ではもっと待てるところもあるかもしれません、とのことでした。ただ、医療機関に迷惑をかけることはできませんからねとのことでした。
先日の、全国クレサラ・生活再建問題被害者交流集会in宮崎にて勉強した内容をまとめてみました。
ひとまず今日は、これまでっ。
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記事中のスライド画像は、コミPo!(コミポ) をもちいて作成しています。