今、司法書士として、不動産の登記の仕事のほか、会社の登記、裁判業務、成年後見などのお仕事をしております。
この中でも、今回は、登記の仕事について(特に不動産登記)お話したいと思います。
というのも、つい最近、司法書士の偉い先生方がつくった(わたしはペーペーちゅうのぺーぺーです)司法書士白書2018年版がCDというかたちで送られてきました。
これの巻頭に、座談会という形式で、偉い司法書士の先生4人と国立情報学研究所の先生が、不動産登記にブロックチェーンを導入したら(司法書士制度は)どうなる?というお話をされているんですね。
ここでの結論としては、ざっくりというと、そもそも不動産登記にブロックチェーンを導入する必要はないだろう、仮に、どのような形になるかわからないが導入された場合にも、司法書士が不動産取引について担う役割責任は変わらないだろうというハナシだったかと思います。
うーんどうなんでしょうねえ。
自分の立場は、司法書士の仕事は、なくなってもいいじゃん!不動産登記にブロックチェーンを導入することによって(たとえば不動産取引が簡単明瞭になったりして、このような効用があるのかどうかは知りません)国民のみなさまが幸せになるのであれば……もうちょっと前向きに考えましょうよ~
というものです。そっちのほうが面白そうですしね!
あともう一つ自分の考えは、仮想通貨の投機に関しては自己責任でお願いします、というものです。ブロックチェーンと仮想通貨の関係は、ここでは省略します。
というようなここまでが前振りで、最初のリンク記事に戻ります。
このリンク記事にはなにが書いてあるか?
もう実証実験まですすんでいるのか~とアセったのですが、よく読むと、不動産登記制度にブロックチェーンを導入するという実験ではなくて、その前の不動産売買契約にブロックチェーンを導入するという実験でしたね。
あと、これは売買契約に限定されるお話のようですね。
イメージとしては、不動産仲介業者さんを介する不動産売買の新しいカタチといったものでしょうか。
この記事(この実験)に文句つけてもしょうがないのですが、これだと所有権移転の日はいつになるのだろう?というのは気になりました。
というのも、ステップ4で買主はルーデン社の仮想通貨口座に仮想通貨(Bitcoin)を送金するのですが、この段階で実体上の所有権が移転していないのであれば、ルーデン社のたとえば破綻リスクを買主が負うという話だからです。
ただこのあたりの不都合は、いかようにもできるかなとも思います。
実際の不動産取引の現場では(とくに本人確認について)
わたしが今わからないのは、この不動産登記簿がブロックチェーンになったときに、本人確認ってどこでどうやってやるのだろう?ということです。
円と仮想通貨(Bitcoinなど)の交換所で本人確認をすることになるのかな?
今書きながら考えている感じですが、なんとなく不動産の売買に関してはブロックチェーンへの移行(司法書士不在の不動産取引)ってできるような……気がしてきました。
不動産の売買以外のご相談では
ただ、司法書士白書2018年版の座談会でも指摘されていたのですが、多くの不動産取引において、依頼者は権利関係や実体関係を理解して依頼されるわけじゃないんですよね。司法書士が権利関係や実体関係をお伺いして、交通整理をして、実際の登記申請書類をつくるという執務をおこなっているんです。
もともとの権利関係をもっと単純化する(たとえば地上権と賃借権はもう統一化するなど)ということをしないと、司法書士がまったく不在の不動産取引の実現はたしかに難しいのかな?とも書きながら考えました。
うーんどうなんでしょう。どのような制度設計ならば、国民のみなさまにとって使いやすい制度になるのか?という議論は必要だと思うのですが……。たぶん色んなお立場の方がでてきてとんでもないことになったりもするのかもとも思います。
関連するかもしれない記事