山形浩生氏はまったく悪くないのですが、ブログタイトルを読んで、選者1人ずつ30冊をオススメしていただけるのかなと思ってしまったわたしです。
よくよく考えると1人で30冊選ぶのは大変ですね……。
実際には、朝日新聞「平成の30冊」の集計方法はこのようなものでした。
「平成の30冊」は、新聞や週刊誌で書評を執筆している方々のアンケートで選びました。1989年~2018年に出た本の中からベスト5を選んでいただき、1位から順に5~1点と点数化し、集計。120人から回答が寄せられました(回答者の肩書は2019年3月現在)。
ここで、朝日新聞「平成の30冊」に対抗してというわけじゃないのですが、 われわれブロガーも書評ブログ記事で平成を振り返ろうじゃないかということで、わたしが選ぶ平成の30冊 という企画を提案します。
【わたしが選ぶ平成の30冊】
書評ブログ記事を書いて、推し本のそれぞれに点数を割り振ってください。
朝日新聞の「平成の30冊」と異なり、1人の持ち点を15点とします。
1冊に15点を割り振っていただいても構いません(書評ブログは実際書くのすごく難しくて大変ですもんね。1冊でも大丈夫ですという趣旨です)。
書かれた書評ブログ記事を #わたしが選ぶ平成の30冊 というハッシュタグでツイートしていただければ全力でリツイートします。気が向いたら集計します。なお拡散力はありません(泣)その点ご了承ください。
なお、朝日新聞「平成の30冊」の4位から30位はこちらです。
- 4位「火車」(宮部みゆき、1992)
- 4位「OUT」(桐野夏生、1997)
- 4位「観光客の哲学」(東浩紀、2017)
- 7位「銃・病原菌・鉄」(ジャレド・ダイアモンド、2000)
- 8位「博士の愛した数式」(小川洋子、2003)
- 9位「〈民主〉と〈愛国〉」(小熊英二、2002)
- 10位「ねじまき鳥クロニクル」(村上春樹、1994)
- 11位「磁力と重力の発見」(山本義隆、2003)
- 11位「コンビニ人間」(村田沙耶香、2016)
- 13位「昭和の劇」(笠原和夫ほか、2002)
- 13位「生物と無生物のあいだ」(福岡伸一、2007)
- 15位「新しい中世」(田中明彦、1996)
- 15位「大・水滸伝シリーズ」(北方謙三、2000)
- 15位「トランスクリティーク」(柄谷行人、2001)
- 15位「献灯使」(多和田葉子、2014)
- 15位「中央銀行」(白川方明2018)
- 20位「マークスの山」(高村薫1993)
- 20位「キメラ」(山室信一、1993)
- 20位「もの食う人びと」(辺見庸、1994)
- 20位「西行花伝」(辻邦生、1995)
- 20位「蒼穹の昴」(浅田次郎、1996)
- 20位「日本の経済格差」(橘木俊詔、1998)
- 20位「チェルノブイリの祈り」(スベトラーナ・アレクシエービッチ、1998)
- 20位「逝きし世の面影」(渡辺京二、1998)
- 20位「昭和史 1926-1945」(半藤一利、2004)
- 20位「反貧困」(湯浅誠、2008)
- 20位「東京プリズン」(赤坂真理、2012)
この並びになんとなくモヤるという方はぜひご参加ください(爆)*1 本の選び方は、とくに制限なく自由です。わたしは今回、3冊?を紹介し、それぞれ5点ずつの配点とします。
- わたしが選ぶ平成の30冊 推理小説からはこの1冊
- わたしが選ぶ平成の30冊 マンガ評論、社会評論からはこの1冊
- 栗本薫先生についての個人的な思い出(番外編・ポエム)
- わたしが選ぶ平成の30冊 ブログ界からはこの1冊
- 関連するかもしれない記事
- 脚注
わたしが選ぶ平成の30冊 推理小説からはこの1冊
これは2冊とカウントすべきなのでしょうか?東京創元社版が平成元年に刊行され、平成30年に光文社文庫版(決定版!)が刊行された、日本ミステリ界のみならず文学史に残る傑作です。
『このミステリーがすごい! 2019年版 』では、この30年間の『このミス』1位の中から1位を選ぶ「キング・オブ・キングス」ランキングが発表され、この「生ける屍の死」が1位でした。
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また、古くは2000年に刊行された評論家の福田和也氏の著書「作家の値うち」では、
- 2000年当時ご存命の(作家から反論できるように)
- 6冊以上の著書がある作家の(作家は多作であるべき)
- 読者が比較的手に入りやすい(ブック・ガイドとして使えるように)
- エンターテイメント部門の作品(作家の値うちの著者である福田氏が考える純文学との違いについては本書コラムをご確認ください)
のうち、最高点92点が与えられたのがこの作品でした(90点以上は、世界文学の水準で読み得る作品、とされました。エンターテイメント部門の作品では、91点に「哲学者の密室」笠井潔。90点「グイン・サーガ」栗本薫。)。
未読の方は、ぜひお買い求めください!
「生ける屍の死」は、絶対入るでしょ枠です。
わたしが選ぶ平成の30冊 マンガ評論、社会評論からはこの1冊
わたしが、わたしが選ぶ平成の30冊企画をやろうと考えたのは、一つにはこの作品を紹介したかったというのはあります。「オトコのカラダはキモチいい」です。
著者3人(およびゲスト)の鼎談をまとめたものです。この鼎談のなかでは、金田先生はもう徹頭徹尾マジメにふざけたおしておられます。
今回ご紹介する「オトコのカラダはキモチいい」のなかでは、評論も書いておられます。ここでも最重要人物の1人として栗本薫先生のお名前がでてくるんですよね。
また、次のようなところはとってもフェアでよいと思いました。この本で「表象の横奪」という概念をはじめて知りました。オタク女性(腐女子)のほうがマジョリティー男性よりも自分が嗜好する表現に対して断然真摯だと思いました。
腐女子が描いたり読んだりするものは、ほとんどがファンタジーですが、その中で「ゲイ」「ホモセクシュアル」「男性同性愛」などの概念が援用されている以上、実在のゲイと完全に無関係とは言えませんよね。これは難しい言葉でいえば、「表象の横奪」の問題(※8) として、 90 年代から論じられてもいるのですが。
出典:「オトコのカラダはキモチいい」第3章 新宿二丁目で考える タチはどこへ消えた?本文より
※8 たとえば、石田仁、 07 年、「『ほっといてください』という表明をめぐって——やおい/BLの自律性と表象の横奪」(『ユリイカ 07 年 12 月臨時増刊号 BLスタディーズ』所収)などでこの問題が検討されており、この論文をめぐってネット上でさまざまな意見が出された。また、溝口彰子『BL進化論 ボーイズラブが社会を動かす』( 15 年、太田出版)も参照のこと。
出典:「オトコのカラダはキモチいい」第3章 新宿二丁目で考える タチはどこへ消えた?脚注より
BL(ボーイズラブ)の多くは、実在のゲイの青年の恋愛をえがいているのではないのですね。だから「表象の横奪」という問題が発生する。
指摘されるまで、なんとなく勘違いしていました。実際のところ、どういうこと?となりませんか?知らない世界、興味深くないですか?
直接のつながりのあるツイートではないのですが、つながる話かな?と思ってツイートを読んでおりました。
一つ気になるツイートを見たので書きますが、BLがこれだけ大きいジャンルになると、個々に見えている風景も違うと思いますが、70~80年代の耽美ジャンルも含めても、耽美やBLジャンルの主な書き手・読み手の人たちの大多数は、現実の「男性同性愛」の人権運動を実際に応援してきてはいないと思います。
— 金田淳子|11/24古代ギリシャナイト・ヘルメス悪戯祭 (@kaneda_junko) 2018年11月11日
男性が読んでも面白いと思います。ぜひ買いましょう!
あんまり内容について書くと、確実にAdSenseがBANされる危険な書物です。「オカキモチ」は、純粋に読んでいただきたい枠ですね。平成という時代に書かれた本という感じです。
なお、カネジュン先生のnoteはこちらです。
刃牙を濃厚なBLとして読む。「こんな読み方ある?」という脳がクラクラする読書体験を得られると思います。刃牙を読まれている方は、カネジュン先生のnoteをぜひ読んでみてください!
栗本薫先生についての個人的な思い出(番外編・ポエム)
たぶんどこかの理容室で「JUNE」を手に取り「小説道場」を読んだことがある
わたしが本をおこづかいから購入しようとしたころには、もう「グイン・サーガ」(グイまでいれたら予測変換でグイン・サーガでてきました)は、だいぶ巻数がでていたので(こりゃおっかけるのはおこづかいが足りないわ)と外伝1冊だけ買ったものでした。
空に顔が浮かんでました。いろんな記憶がごっちゃになっています。
その後、高校生になりおこづかいがちょっとだけ増え、よし!と魔界水滸伝シリーズをそろえようと決めました。
本邦のアラフォーより上の年齢の方は、栗本先生の本でクトゥルー神話を知ったという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
なんとなく熊本の片田舎で、ただの本好きの少年として暮らしていた(そのころはインターネットなどというものはありませんでした)わたしですが、栗本先生がやおいと呼ばれる分野にものすごく傾倒しておられるのは、なんとなくあとがきから(栗本先生はあとがきがおもしろかったのです)察せられました。
「オトコのカラダはキモチいい」でも言及のある伝説的雑誌「JUNE」誌上にて「小説道場」を連載されていたことは、なにかのあとがきから知ったのだと思います。
わたし1冊だけ読んだことがあるんです。たぶんどこかの理容室で(美容室ではない)。あれ?これJUNEじゃない?だったら「小説道場」あるんじゃない?みたいな。
果たしてありました。
小説の書き方講座として、とてもタメになることが書いてあるっぽい!と興奮しながら読んだ記憶があります。
いろんな記憶がごっちゃになっています。
時間軸が錯綜しているような気もしますが、どこかで「JUNE」を手に取り「小説道場」を読んだ、のは間違いない記憶です。
わたしが選ぶ平成の30冊 ブログ界からはこの1冊
ブログ界から平成の30冊を選ぶとなるとまず「ブログ飯」になるのかな?と考えました。奥様のコラムもとてもいいんですよね。
ブログ飯は、ブログの価値をあげるためには(この価値は、交換価値ではなく、価値です)どのような考え方をすればよいのかということが書いてあります。
資本主義社会を生き抜く実用書であり、哲学書でもあるという枠。
最近だと、のんくら本が大ヒットしているようですね。また「できスタ」もコンテンツマーケティングを学ぶのに最適な本だと思います。
また、鈴木さんの本も、エントリーされるべき本だと思います。名著だと思う。
その他にも名著はたくさんあります。このあたりは、ぜひぜひとオススメする本です。
わたしが選ぶ平成の30冊。いかがでしたか?(いかがでしたか?が最近わたしのなかで流行しています)ぜひみなさまの、わたしが選ぶ平成の30冊をお教えください!
書評ブログ記事を書いて、 #わたしが選ぶ平成の30冊 というハッシュタグで当該ブログ記事をツイートしていただければ全力でリツイートします。なお拡散力はありません(2回目)その点ご了承ください。
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この後、熊本で開催された熊本ブロガー会のイベントで、染谷さんの講演を聞きました。そのレポートはこちらです。