田舎の実家の土地・建物を相続したけど、処分したい、というご相談をうけることはよくあります。もらいたい、じゃなくて、もらいたくない、というご相談です。これは、固定資産税の支払いやまたは、建物の管理のリスク(倒壊・火災)など理由はさまざまです。
以前にもブログに書いておりますとおり、田畑などであれば、隣接農地の農家さんに買っていただく、もらっていただくという形が一番手っ取り早い処分の方法かな?とは思うのですが、
今回は、相続放棄という手法が使えるのか?を考えてみたいと思います。
[最初の判断基準] お金は相続する、土地建物は相続放棄する、ということは制度上できません
相続した実家の土地建物の相続放棄はできるとな(できますか)?
お金(貯金通帳など)はもう分けておられますか?
今後もらわれる予定はありますか?
結論としては、
この、お金は「相続する(もらう)」けれども、土地建物は「相続放棄する(いらない)」ということをしたい場合には、全体として
相続放棄ではできない
ということになります。
[解説] 相続した土地・建物を処分したい場合に相続放棄は使えるのか?
相続放棄という制度は、相続人の側から行うものです。被相続人が亡くなった後に相続人から行います。
どこになにをするのか?というと家庭裁判所に書面を出します。相続を放棄します、という書面です。これは、裁判所へ提出する書類の作成業務として司法書士の仕事としてお引き受けしております。
説明する順番としては、まず、相続した土地・建物だけを相続放棄することはできないということをご説明することになります。多くの場合、「それじゃー相続放棄は使えないね!」とおっしゃることが多いです。
相続放棄をすることによってどうなるか?は、そもそも相続人じゃなくなる、プラスもマイナスも相続財産を引き継がない!ということになります。
次に、具体的事情をお伺いして、「ご相談者さまの場合は相続放棄できませんね」という場面はほかにもあります。ここは、後日あらためて書きます。日付(期限)の問題です。
まとめ
相続した土地・建物を処分したい!というご相談を受けた場合に、司法書士から、相続放棄という制度を使おう!という発想はなかなかでてこない、盲点になっていると思います。私だけですか?そもそも相続財産のなかでマイナス(負債・借金)が多いことが確定している場合に使える制度だ!!という思い込みがありますので。
一応のまとめとしては、相続した土地・建物だけを処分したいのではなく、全く何にもいらない場合には、相続放棄、一応使えるでしょう!ということになります。ただできない場合もある(逆に、できないと思い込んでいたけどできる場合もある、これは主に日付の問題について)ので、お近くの司法書士事務所にてご相談ください、ということになります。
今回はここまでです。