このリンクの記事は、2016年(平成28年)9月22日という日付がかいてあります。
この記事のエビデンス(おおもとのデータとその論評ぐらいの意味で使ってます)は、2014年のメタボ検診の結果とされています。
この記事中の厚労省の担当者さんのコメントは、いつのコメントなのかな?
厚労省の担当者は「食事が安くて高カロリーのジャンクフードなどに偏っているとみられる」としている。
出典:上記リンク
わたし怒ってます。というのも、このニュース記事だけでは、執筆者にその意図がなかったとしてもミスリーディングというか不当な生活保護バッシングに繋がりかねないからです。
『生活保護→「なのに」→メタボ=どういうこっちゃい!』と怒る方が出てこられかもしれない。
『生活保護→「なのに」→喫煙率高い!=どういうこっちゃい!』とも。
そうじゃないんです。
『貧困⇔肥満、これには逆に、関連性があるんです』(野菜、肉などのバランスの整った食事の方が金額が高くなるからです)
もう一つ。
生活保護受給している人と、生活保護を受けていない人を比較するのであれば、そもそもの原因にかかるところを比較するべきじゃないか?と。
J-STAGEを初めて使ってみた
日本語で操作できる日本語文献の文献データベースなのだそうです。とりあえず、「標題」欄に「生活保護」と入力してみました。
そこででてきた論文がこちらです。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstc/11/4/11_114/_pdf
- 富田 早苗, 三徳 和子, 中嶋 貴子
- 日本禁煙学会雑誌
-
Vol. 11 (2016) No. 4
-
公開日: 2016年09月17日
5ページ目の「考察」をご覧ください。上から5行目です。
喫煙状況と基本属性との関連では、最終学歴が12年以下の者は13年以上の者と比較し喫煙率が2.8倍高かった。妊婦を対象とした先行研究3)においても、喫煙継続者の35.7%が中学校卒であったこと、配偶者の学歴においても低学歴者に喫煙者が多かったことから、妊婦への禁煙支援に社会的要因を含めたアプローチの必要性を報告している。本調査対象者である壮年期生活保護受給者は中学校卒が男女とも40%を越えていた。さらに、常勤で就業している者もいなかったことから、事業所での健康教育を受ける機会も恵まれていない。
また、同じく5ページの右側上から6行目から
ソーシャルサポートとの関連では、男性では、健康に関する相談者の有無、市町村健康教室の利用の有無が喫煙リスクに関連があった。女性では、対象者数も少なく今回の調査ではソーシャルサポートと 喫煙との関連要因は認められなかったが、市町村の回覧情報を利用している生活保護受給者は喫煙リスクが低い傾向にあった。
なにが言いたいかというと、先の朝日新聞デジタルのニュースでは、生活保護受給者の方の男性の喫煙率が高いとありますが、厚労省の調査では、学歴というファクターは、考慮されていないのかな?ということを思ったということです。
まとめ
数字が入っている釣りタイトルには、気をつけよう。
というのは、一般論として、生活保護費の削減なり、なんなりなんらかの政策目標があるのなら、まずは統計データを示して、冷静な議論をよびおこすことが肝要かと思います。
もっというと、統計データの読み方がわかれば、もっと楽しいんだろうなーと思います。さらにデータとデータを結びつけることができるなら。興味はあるけど、全然勉強できていません。今のところは、学者の先生の知見を使わせていただく、という感じです。
学歴との関連性がわかったとして、だから何なんだという批判は、ありうるのかな?今、必要な方に生活保護制度を使っていただいて、かつ、生活保護費を削減しようという目的のために、教育が大事なんだということはわかった、という議論の前提が共有されるのは、いいことですよね?そこから先は、まだ分かりません。
分からないなりに、考えてみたいと思います。というか、私の考えは、生活保護制度は、必要な制度であるというところは動かないので(ベーシックインカムでも導入されない限り)、今回の記事も、自分の結論を補強するデータを探した、という形になっていると思います。そのあたり考慮にいれていただいて、批判的検討をお願い致します。
5ページ左側に、もう一つ読んでいただきたい情報があります。禁煙治療が保険適用になっており、禁煙治療が医療扶助の対象となっている、ということです。