専門書を紹介するエントリです。
もともとは、まとめ買いをしていた本でした。
とくに、信託について勉強しよう!という感じで、信託というコトバが入っている書籍を何冊か購入したうちの1冊であり、購入以来、積ん読状態になっておりましたものです。
株式会社との比較において、持分会社(合同会社、合名会社、合資会社)、一般社団法人、信託について法務と税務の両面からその活用方法を検討する本です。
株式会社においては、お金をたくさん出資した人が、より発言力が強くなるということになるのですが(より株式を多くもっている人が強いのですが)
株式会社であれば、議決権は基本的に出資額に比例します。新たに増資するのも簡単ではありません。仮に、ある人が乗っ取りを図ろうと、ある一定の議決権を有するためには、相当大変な努力と資金が必要になります。
中略
ところで、一方の一般社団法人ですが、一般社団法人の会合に参加していると、長い間での各人の発言から、自然に発言力に差が出てくることを経験します。それは資金力とは全く異なる人間力です。
出典:事業承継に活かす 持分会社・一般社団法人・信託の法務・税務
ここは、なにが書いてあるのかといいますと、一般社団法人の議決権についての解説です。
一般社団法人は、社員1名につき、1議決権なのです。
このこと(1人1議決権)が、どういう事態をひきおこすことになるのか?さきほどの引用からお考えいただければと思います。
ここからの記述は、本当に怖いです。
著者のお二人は、税理士であり、法務・税務を理論面から解説する本であるのですが、現実がチラッとその姿をみせる瞬間がおそろしいのです。
たしかにそういうことも起こりうるだろうな、と思います。
”彼”が信頼を勝ち取り、リーダーシップを掌握してしまっている場合
出典:同上
その信頼を築いた後の、何かしらの目的があって、意図的に信頼が構築される時
出典:同上
とても表現、というか状況の説明がリアルと感じました。
もっと、税務よりの記述もたくさんあり、まだまだ理解がおよばないところも多々あるのですが、とてもおもしろい本です。
司法書士業務として、商業登記申請というものがあります。
株式会社設立、その他の法人の設立、またそのあとの役員変更などなどをお仕事として承っています。
今回は、株式会社とはちょっと違う、一般社団法人の世界、社員1名につき1議決権の世界をご紹介いたしました。